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キヌティーヌの過ごし方〜9丁目のキャサリン〜
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ソバ屋で憩う
2006年10月2日
先週、仕事でヨーロッパ各地をてんてんとしていた主人が、約一ヶ月ぶりに帰ってきました。


さすがに疲れた様子でトランクを自分の部屋に放り投げ、めずらしくビールを開けずにみそ汁をすすり、待ちかまえていた息子のマシンガントークをソファーで聞きながらうとうとしはじめ・・・一言「明日はソバ屋に行こうか」と言い残し、絡み付く息子と一緒に寝室へと消えて行きました・・・


うちの主人は海外生活中一番不便だったのは「ソバ屋」がないこと!と言うくらいの自称「ソバ屋好き」。ここでポイントなのは「ソバ好き」ではなく「ソバ屋好き」という所!

彼がこよなく愛す文庫本のなかに「ソバ屋で憩う」という江戸風俗研究科の文筆家・杉浦日向子さんの著書があり「これは最高だよ!」とすすめられ私もページをめくってみると、こんな「まえがき」から始まっていました・・・


「グルメ本ではありません。・・・ソバ好きの、ちょいとばかし生意気なこどもは、いますぐ、この本を閉じなさい。・・・データ収集のつもりのあなた。この本は期待に添えません、さようなら。さて、残った皆様・・・」


あまりにも小気味よい文章に「ソバ屋好き」ではない私でもスルスルッと「ソバ屋好き」の世界に引き込まれていきました。


「「ソバ好き」にも二種類ある。ひたすらソバの神髄へと突き進む求道型(往々にして手打ちにチャレンジする・・)とソバ屋でのリラクゼーションを乞い願う悦楽派と。」


こう締めくくる杉浦日向子さんは後者の代表で、もちろん主人もその一人。私はというと、やはりそれほどの「ソバ屋好き」にはなれませんでしたが、現代の江戸人、杉浦日向子さんが案内してくれる粋な世界の本のファンになりました・・・


「今日は休日か〜じゃあ、「吉祥 庵」にしようか〜」普段ソバ屋には一人や昔馴染みの友人と、「赤坂すなば」や「神田まつや」などにふらりと出掛ける主人。(この名前に反応示した方、悦楽派ですね〜)でも本日は家族連れということで、近場で子供連れでも落ち着ける美味しいソバ屋さん成城の「吉祥 庵」に決めたようです。


お昼時、家族連れが目立つ仕切られたテーブル席に通され、私は「おろしソバ」、息子は「天ざる」、と即決する中・・・主人はというと、まずはつまみのメニューをじっくり吟味・・・そして「わさびのしょうゆづけ」とお酒を一合注文しました・・・


真っ先に運ばれて来たお酒を「ここは、器も洒落てるね〜」と一口含み「わさびのしょうゆづけ」がくると「あと、鴨南せいろ追加で」とやっとソバを注文。


私達がソバを食べ初めている横で、ちびちびつまみをつつきながら、何だか実に楽しそうにソバを待つ主人・・・そして一合飲み終えた頃ちょうど「鴨南せいろ」が運ばれて来て、すかさず「同じのもう一杯」と空の洒落た器を店員さんの方に差し出しました。 


「やっぱり、うまいソバには日本酒が合うな〜」満足そうに鴨とお酒、ピカピカのソバを交互に食べ進め、最後はそば湯をたっぷり飲んでごちそうさま・・・これがソバ屋での彼のスタイル。最高のフルコースだそうです。


ちなみに彼はよく「ソバ屋での酒は二合まで!それ以上は野暮な事!」と言いますが、私には「ソバ屋では二合美味しくお酒が飲めますよ〜っ」て言っているように聞こえます・・でも!大人ならではの楽しみ、憩いの場があるということは、「大人になった甲斐」があるというものですよね!


「たまにはといわず、ちょいちょい憩いましょう・・家庭と会社以外で、そんな居場所を日常のなかにもっていますか・・」(杉浦日向子著「ソバ屋で憩う」のまえがきより)

(平成17年 46歳の若さでお亡くなりになった杉浦日向子さんのご冥福を心からお祈りいたします。) 


吉祥 庵
http://r.gnavi.co.jp/g150128/


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